<遺言書の書き方①>土地を相続させたいとき、どうやって書くべき?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
遺言書を書くときには、財産内容及び、だれにどう相続させるのかを特定できるように、明確に書く必要があります。
曖昧な表現で書いてしまうと、相続発生後に揉める可能性があり、遺言書を書いた意味がなくなってしまうためです。
今回は、揉めないためにはどのように遺言書で表現すべきか、またその理由等をコラムにしたいと思います。

目次

一筆の土地を相続させるときの書き方

第〇条  遺言者は、遺言者が所有する下記の土地を、遺言者の妻A(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。
                       記
           所  在   〇〇市〇〇町〇〇丁目
           地  番   〇〇番〇〇
           地  目   宅地
           地  積   〇〇.〇〇平方メートル

ポイント

的物の特定の方法は、登記事項証明書の記載に従います。
土地の場合は、所在、地番、地目及び地積を記載して目的物を特定します。
特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解すべきであり、この場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、
何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継されます

不動産の所有権移転登記について
相続により不動産を取得すると、単独で所有権移転登記手続ができます
(この場合、遺言執行者が指定されていても、同執行者は当該移転登記手続をする義務を負いません)。

一方、遺贈により不動産を取得すると、所有権移転登記手続は共同相続人と共同で申請しなければなりません
(遺言執行者が指定されている場合は、同執行者と受遺者の共同申請です。)。

遺言書の文言が「相続させる」か「遺贈する」かという違いのみで相続か遺贈かと一刀両断に判断されるわけではありませんが、
上記のように相続か遺贈かによって手続等が大きく異なりますので、トラブルを避けるために、
相続させる場合には「相続させる」旨を明確に示すことが重要です。

ご参考~遺言書の見解で揉めた事例~
遺言書に、遺贈の目的として単に「不動産」と記載され、その所在場所として、地番ではなく遺言者の住所(〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)が記載されている場合に、建物のみを遺贈の対象としたのか、土地・建物両方を遺贈の対象としたのかが争われた事案において、最高裁は、遺言書には単に「不動産」と記載されているだけであって土地を遺贈の目的から明示的に排除した記載となっていないこと、「〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号」は遺言者が長年居住していた自宅の住所であって、遺言者はその住所にある土地・建物双方を所有していたことなどの事実関係の下においては、
遺言書の記載は、遺言者の住所にある土地・建物を一体として遺贈する旨の意思を表示していたものと解するのが相当であると判示しました。
最高裁平成13年3月13日判決(判時1745・88)は、遺贈に関する判例ですが、不動産の特定という点では、相続の場合も同じであり、このような紛争を避けるために、対象とする不動産は、登記事項証明書の記載に沿って地番等で特定することが重要です。

◆土地の評価方法
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価します。
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法であり、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法であり、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

まとめ・所感

今回は土地について、どのように遺言書に表現すべきかを書きました。
遺言書は土地に限らず、すべての財産について、後で読んだ人が見解の違いなく特定できるように書くことがとても重要です。
不動産の場合は、やはり登記簿謄本に記載されていることを、そのままきっちりと書くことがたしかな方法といえます。
その他財産についても、今後コラムで書いていきたいと思います。

自筆証書遺言や公正証書遺言についてのコラムは以下をご参照ください。

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