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国民年金被保険者が亡くなった…遺族年金等について解説します!
こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
若くしてお亡くなりになった方が、国民年金被保険者であった場合、どのような手続きをすればいいでしょうか?
故人が国民年金の年金受給者であった場合の手続きについては、以下をご参照ください。
実例をもとに、以下簡単にまとめました。
ご相談事例
夫が45歳の誕生日の直前に病気のため、急死しました。
これまで夫と2人で飲食店を経営してきまして、20歳から国民年金の保険料を滞納せずに納付しています。
小学生の子供が2人いるのですが、遺族に支給される年金と手続きについて教えてください。
ご回答のポイント
- 遺族基礎年金は、国民年金加入中の夫が亡くなり、子のある配偶者、または子供が残された場合に支給されます。
- 寡婦年金は、国民年金第1号被保険者として10年以上保険料を納付した夫が、何の年金ももらわず死亡したときに妻に支給されます。
- 死亡一時金は、第一号被保険者として国民年金保険料を36月以上納付し、老齢基礎年金または障害基礎年金をもらわずに死亡した場合に遺族に支給されます。
ご回答の流れ
- 遺族基礎年金の請求
- 寡婦年金の請求
- 死亡一時金の請求
ご回答
遺族基礎年金の請求
遺族基礎年金は、国民年金加入中の夫が亡くなり、子のある配偶者、または子供が残された場合に支給されます。
支給要件は以下の通りですが、その前の大前提として、
死亡した者(夫)について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上であることが必要
です。
ただし、死亡日が令和8年4月1日前で、死亡日に65歳未満であるときは、死亡月の前々月までの1年間が保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)で満たされていれば要件に該当する特例があります。
- 支給要件
次のいずれかに該当する場合です。 -
- 被保険者が死亡したとき
- 被保険者であった人で60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有する人が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る)が死亡したとき
- 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したとき
- 遺族の範囲と生計維持要件
-
遺族基礎年金を受けることができる人は、
・死亡者によって生計を維持されていた18歳到達年度の末日までの子(障害のある子は20歳未満)のある配偶者
・18歳到達年度の末日までの子(障害のある子は20歳未満)で、婚姻していない場合
です。 - 遺族基礎年金の受給額
-
(令和5年4月分以降)
・67歳以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ) 795,000円+子の加算(※)
・68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ) 792,600円+子の加算(※)
※子の加算
第1子・第2子 各228,700円
第3子以降 各76,200円
年金額の改定は、名目手取り賃金変動率が物価変動率を上回る場合、
・新規裁定者(67歳以下の方)の年金額は名目手取り賃金変動率
・既裁定者(68歳以下の方)の年金額は物価変動率
を用いて改定することが法律で定められています。
令和5年度の年金額は、新規裁定者は2.8%、既裁定者は2.5%の増額となっています。 - 提出時期
-
死亡の翌日から5年以内
- 提出者
-
死亡者の配偶者または子
- 提出先
-
住所地を管轄する市区町村役場
- 受給額
-
ご相談者様(妻)は、795,000円<67歳以下>+(228,700円×2<子が2人>)= 1,252,400円受給することができます。
寡婦年金の請求
寡婦年金は、以下のすべてを満たしていれば、受給することができます。
- 寡婦年金の支給要件
-
- 死亡した夫が国民年金の第1号被保険者として、保険料納付済期間、保険料免除期間が合計して10年以上であること
- 死亡した夫が国民年金の障害基礎年金や老齢基礎年金の支給を受けたことがないこと
- 夫の死亡当時、妻は夫によって生計を維持されていたこと
- 夫との婚姻関係が10年以上続いていること(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含みます)。
- 妻は65歳未満であること
ご相談者様(妻)はすべてに該当するため、寡婦年金が受給できます。
- 受給期間
-
寡婦年金が受給できるのは、妻が60歳から65歳になるまでの間です。
ただし、妻が65歳未満であっても老齢基礎年金の繰上げ受給を受けている場合は、寡婦年金は支給されませんので、ご注意ください。 - 提出時期
-
支給事由が生じたときから5年以内
- 提出者
-
国民年金加入者であった夫を亡くし、要件を満たす妻
- 提出先
-
住所地を管轄する市区町村役場
- 受給額
-
老齢基礎年金の4分の3
死亡一時金の請求
- 支給要件
-
死亡一時金は、上記STEP1の遺族基礎年金が支給される場合は、支給されません。
また、寡婦年金と両方に該当する場合は、どちらかの選択になりますので、ご注意ください。
以下のいずれかに該当することが必要です。- 死亡するまでの第1号被保険者としての保険料納付済期間と免除期間を合算して36ヶ月以上であること
- 死亡した人が、過去に、国民年金(老齢基礎年金・障害基礎年金)の給付を受けたことがないこと
- 死亡した人によって、配偶者または子に遺族基礎年金が支給されないこと
- 死亡一時金を受けられる遺族
-
死亡した人と生計を同じくしていた以下の順位の者です。
- 配偶者
- 子
- 父、母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 提出時期
-
該当者の死亡後の2年以内
- 提出者
-
該当する遺族で死亡当時生計を同じくしていた者
- 提出先
-
住所地を管轄する市区町村役場
- 受給額
-
死亡した人の第1号被保険者としての保険料納付済期間に応じた以下の額が支給されます。
また、付加保険料が36ヶ月以上ある人の場合は、8,500円が追加されます。- 36ヶ月以上180ヶ月未満 …120,000円
- 180ヶ月以上240ヶ月未満…145,000円
- 240ヶ月以上300ヶ月未満…170,000円
- 300ヶ月以上360ヶ月未満…220,000円
- 360ヶ月以上420ヶ月未満…270,000円
- 420ヶ月以上…320,000円
失踪宣告を受けた者の死亡一時金について
死亡一時金を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅しますが、失踪宣告を受けた者については、
「死亡とみなされた日」を起算日とせず、失踪宣告の審判の確定日の翌日から2年以内に請求があった場合は、死亡一時金が支給されます。
まとめ・所感
年金や健康保険関連の手続きは、人それぞれ加入歴等が違うため、事前に市区町村や年金事務所等へ問い合わせすることをお勧めします。
今回の事例では、相談者様は、遺族基礎年金・寡婦年金(もしくは死亡一時金)を受給できることになります。
健康保険や年金は手続き自体はそれほど複雑ではないのですが、
加入歴、受給歴、年齢、婚姻期間等によって、申請内容が変わるため、すべてを把握するのはなかなか難しいのではないかと思います。
当事務所では、ご相続発生後の手続きに年金や健康保険関連の手続きが漏れていないのかも、確認させていただいております。
お悩みの方がおられましたら、お声掛けください。