死亡保険金の受取人が「法定相続人」となっている!どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
故人が生命保険にご加入されていた場合、原則、受取人に指定されている人が保険金を受け取ることができますが、
稀に受取人が「法定相続人」となっている場合があります。
この場合、どのような手続きをすればいいでしょうか?
実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

亡夫は、「法定相続人」を死亡保険金受取人とする生命保険に加入していました。
夫の法定相続人は、私(妻)と子供2人(成人)で、2人目の子供は、夫の生命保険契約締結後に生まれています。
私たちがこの保険金を受け取るにはどうすればいいでしょうか?
また、2人目の子供は、保険金を受け取ることができるでしょうか?

ご回答のポイント

  • 加入している保険会社指定の死亡保険金請求書に必要事項を記載し、必要書類を添付して、保険会社に死亡保険金の請求をしてください。
  • 保険金受取人が複数の場合、相続人の中から代表者を選任し、他の法定相続人全員の同意を得た代表者選任通知書を作成しなければいけない場合もあります。
  • 死亡保険金の受取割合は、原則法定相続割合となります。

ご回答

STEP

相続人が複数がいる場合

保険金受取人が複数の場合、相続人の中から代表者を選任し、他の法定相続人全員の同意が表示された代表者選任通知書を作成し、死亡保険金請求書に添付します。
ただし、保険会社所定の保険金請求書には、この代表者選任通知書が同一紙面に掲載されていることも多く、この場合は、別途代表者選任通知書を添付することは不要です。
このように代表者の選任が要求されるのは、保険会社の事務処理を円滑かつ迅速に行うためです。
ただし、保険会社は、保険金受取人から提起された保険金支払請求訴訟においては、代表者の選任がなされていないことを支払拒絶の抗弁として主張することはできません。

提出時期について
各種生命保険普通保険約款によりますが、約款に定めがなければ、権利を行使することができるときから3年内となりますので、ご注意ください。

STEP

保険金取得割合

最高裁判所は、
保険契約者が保険金受取人を相続人と指定した場合には、その相続分の割合により保険金を取得させる趣旨も含まれていると解すべきとして、特段の事情がない限り、この指定には相続人が受け取る権利の割合を法定相続割合とする旨の指定も含まれていると判断しています。
難しい言い回しですよね…
つまり、保険金受取人が「法定相続人」となっていた場合は、原則、法定相続割合で相続人が保険金を受け取るということです。
この事例でいいますと、法定相続割合は、私(妻)1/2、子1/4、子1/4 となります。

STEP

生命保険契約締結後に生まれた子供(2人目の子供)は、保険金を受け取れるか?

結論、受け取ることができます。

この事例でいいますと、生命保険契約締結時の相続人と、被保険者死亡時の相続人が異なる場合に、
保険契約者が指定した「相続人」は、いつの時点における相続人を指すのかが問題となります。

判例は、
保険契約者が保険金受取人を単に「相続人」と指定する趣旨は、被保険者の死亡時までに相続人となるべき者に変動が生じる場合にも、保険金受取人の変更手続をすることなく、被保険者の死亡時において相続人である者を保険金受取人と定めることにあるとして、保険契約締結当時または、保険金受取人指定当時の相続人をいうのではなく、被保険者の死亡時における相続人をいう
としています。
難しい言い回しですね…
簡単にいいますと、
受取人を「相続人」としたのは、将来、「相続人」が変わっているかもしれないから、
それを考えてあえて受取人を「相続人」にしている。なので2人目の子供も保険金を受けとれる。

ということです。

まとめ・所感

保険金受取人を「相続人」としているケースは、一見なんで?と思われるかもしれませんが、故人の”ご配慮”である場合もあります。
保険期間が長い契約の場合に、たまにみますので、ご将来を考えてのことだったこと、その想いをご相続人様にお伝えしています。
(もちろん想定にはなってしまいますが)
使い方によって保険は大変便利なものになります。
ご遺言を作成される場合や、生前のご相続対策等で、必要性があれば、お伝えするようにしています。

受付時間
平日 9:00〜17:30

日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

受付時間
9:30〜17:00
(土日祝を除く)

日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

目次