農地を相続するけど、仕事があって農業はできない!どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
相続財産に農地があった場合、相続人は別の仕事をしていて農業ができない、または、農業をする気がない、といったケースは
よく聞きます。
ご相談の実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

農業をしていた父が亡くなりました。
母と兄弟が法定相続人となりましたが、母は高齢で、私たち兄弟は勤めがあるため、農業はできません。
一応私が相続して売るか他人に貸すかしたいと思いますが、私が相続して、
かつそのような処分をすることができるのでしょうか?

ご回答のポイント

  • 農地を相続する場合、農地法による農業委員会の許可は不要ですが、農業委員会への届出が必要です。
  • 相続した農地を売却する場合には、農業委員会の許可が必要となります。
  • 相続した農地を貸借する場合も農業委員会の許可が必要ですが、その規制は、売買よりも緩和されています

ご回答

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農地を相続する場合の農業委員会への届出

相続は、被相続人の財産上の権利義務が、包括的に相続人に承継されることです。
被相続人の所有していた農地も、相続財産として相続の対象となり、農地の所有権は被相続人から相続人に移転します。
農地法3条は農地の所有権移転には農業委員会の許可が必要と定めていますが、
相続は被相続人の死亡という事実から生じる法律上当然の効果であって、法律行為によって生じたものではありませんから、許可は必要ありません

ただし、農地につき誰が権利を取得したのかを農業委員会で把握する必要があることから、相続で権利を取得した者は農地のある市町村の農業委員会に遅滞なく届出をしなければなりません

その期間は、農地の権利取得をしたことを知った日の翌日からおおむね10か月以内とされています。
なお、相続人への特定遺贈による農地の権利移転の場合も、実質的に相続と変わりないことから、
農業委員会の許可は不要、届出は必要とされています。

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相続した農地を売却する場合の許可申請

農地を相続しても、農業を継ぐ意思も能力もなくては、土地を活用することができません。
そうした場合、農地を第三者に売却することが考えられます。この際には、農業委員会の許可が必要です。
許可のない所有権の移転は効力が生じません。

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農地を貸借する場合

相続した農地を手放さずに有効活用する方法として、他人に貸す(賃貸借もしくは使用貸借)ことが考えられます。
この場合、原則として売買と同様に農業委員会の許可が必要とされています。
事前の許可申請が必要で、許可のない貸借契約は無効です。

平成21年農地法改正は、所有と貸借の規制を区別し、貸借の場合の規制を緩和しています。
許可についても、受け手を広く確保できるように一定条件下で許可することができるとされ、また、
旧法では不在地主の小作地を国が強制買収できる制度がありましたがこの制度が廃止されました。
なお、農地の賃貸借期間は50年とされています。
さらに、
農地を貸し付けると打ち切りになっていた相続税猶予制度を他人に貸し付けた場合にも適用する等の対策が取られています。
いずれも農地所有者が安心して貸借関係を結ぶことで、農地を維持し、受け手の農地利用者についても確保・拡大しようとするものです。

まとめ・所感

相続については、自分が選んでできるわけではなく、法律上当然の効果として発生しますので、農業委員会の許可は不要です。
農地の売却について、個人間での取引のみで完結しない(農業委員会の許可が必要)できないのは、主に日本の食料自給率の低下を防ぐためです。ご存知の通り、日本は輸入に依存しています。売却する場合は、要件が厳しめですので、事前に農業委員会へご確認ください。
また、農業委員会への申請の代理ができるのは行政書士のみとなっています。
申請のお時間がない等ございましたら、当事務所へご相談ください。

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日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

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