行方不明の親族の生死がわからない…どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
『親戚の所在や生死がわからない』といったご相談をたまにお受けします。
行方不明の方名義の財産があった場合は、手をつけることができず、困ってしまうケースです。
今回は相続人に行方不明の方がいるというご相談実例をもとに、以下に簡単にまとめました。

目次

ご相談実例

私の夫は、8年前に家を出たまま帰らず、一切連絡がありません。
そのため生存しているのかわからない状態ですが、
夫名義の不動産を売却することができるでしょうか?生活費を捻出するためです。

法律では所有権は、絶対の権利です。
なので、夫婦といえど、ご主人名義の不動産を勝手に売却することはできません。
このようなケースの場合、どのようにすればご主人名義の不動産を売却できるでしょうか?
以下、流れと手続き方法について、ご説明します。

手続きの流れ

  • 失踪宣告の審判申立て(普通失踪の審判)
  • 失踪届を提出(失踪宣告の届出)

手続き方法

STEP

失踪宣告の審判申立て(普通失踪の審判)

  • 失踪宣告の審判申立て

不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます。

・7年間とは…不在者の生存が認められた最後の時点で、その翌日から起算して満7年間が失踪期間となります。
・利害関係人とは…法律上の利害関係を有する者で、不在者の配偶者・父母・受遺者・保険金受取人等です。

  • 失踪宣告の審判手続

家庭裁判所は、申立人の利害関係の有無や、不在者の生死が7年間明らかでないかについて調査した上で、
以下に掲げる事項を公告(家庭裁判所の掲示板に掲示され、官報に記載)します。
②および④の期間内に生存の届出または生死を知る者の届出がなされないときは、失踪の宣告の審判がなされます。
失踪の宣告の審判が確定したときは、裁判所書記官は、遅滞なく、その旨を公告します。

① 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと
② 不在者は、一定の期間(3ヶ月)までにその生存の届出をすべきこと
③ ②の届出がないときは、失踪の宣告がされること
④ 不在者の生死を知る者は、一定の期間(3ヶ月)までにその届出をすべきこと
⑤ 申立人の氏名または名称および住所
⑥ 不在者の氏名、住所および出生の年月日

  • 失踪宣告の効果

失踪宣告を受けた不在者は、7年の失踪期間の満了時に、死亡したものとみなされます。
なので、このときに失踪者について相続が開始されることになります。
つまり、失踪宣告の審判を受けることにより、ここでやっと失踪したご主人の財産を相続して処分することが可能となるわけです。
もちろん、ご相談者の奥様が、この不動産を遺産分割協議にて相続した場合ですが。

死亡の効果は、失踪者の従前の住所または居所を中心とする失踪期間満了日の法律関係で生じるのであって、
失踪者の権利能力自体を喪失させるものではありません。
また、失踪者が生存していた場合に他所で生活していたことに基づく法律関係や、生存者が帰来してからの新たな法律関係には影響を及ぼしません。
簡単にいいますと、あくまで死亡とみなしているだけですので、他所でご存命であれば当然権利能力はあるということです。

STEP

失踪届の提出(失踪宣告の届出)

失踪宣告の審判が確定すると、上記の通り、失踪期間満了時に死亡したものとみなされますが、
その事実を戸籍に反映させなければなりません。
つまり、役所に失踪届を提出するわけです。
ご注意いただきたいのは、届出期間がありまして、失踪宣告の審判確定の日から10日以内となっています。

まとめ・所感

ご存知の通り、高齢社会が進み、認知症で夜に外出し、行方不明になってしまった というような心が痛くなるニュースを見ることが増えました。このようなご相談がなくなることが一番ですが、日本の現状、今後の情勢を考えると、なかなか難しいのかなと思います。

また、状況にもよるのですが、不在者財産管理人の手続き完了→失踪宣告の手続きをすることもあるので、以下リンクを参考にしていただければと思います。
ご参考になれば幸いです。

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