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譲渡された相続分って取り戻せるって本当?
こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
相続が発生した場合、相続人は故人の財産をどれくらい相続するのか、一定の割合(相続分)が決まっています。
この相続分は譲渡することができます。以下関連記事をご覧ください。
一方その譲渡された相続分を、他の相続人が取り戻すこともできます。
例えば、相続人の一人が、他の相続人に譲渡したことを知らせず、ある日突然他人から『遺産を取得したい』なんて
言われたら、ビックリしますよね。
そのときの対応方法の一つとして認められた制度となります。
実例をもとに、以下に簡単にまとめました。
ご相談事例
父が亡くなりました。
相続人間で遺産分割の話し合いをしようと思っていた矢先、
相続人の一人である兄から相続分を譲り受けたという人が、遺産を取得したいと言ってきました。
私の家計は旧来からの地主で、代々受け継がれてきた土地等ですので、
親族だけで相続したいと思っています。
どうすればいいでしょうか?
手続きの流れ
- 相続分取戻権の行使
- 譲渡人の相続分の価格および費用を償還
手続き方法
相続分取戻権の行使
結論、相続分の取戻しは可能です。
遺産分割に、第三者が介入することにより紛争が発生することを防止し、遺産分割が円滑に行われるために、制度として
あります。(一方、取引の安全を阻害するおそれがあるとの批判もあります)
この相続分の取戻しは、
相続人(兄除く)→譲受人(他人)に対する一方的意思表示でよく、譲受人(他人)の承認は不要です。
また、相続人(兄除く)が単独で行使できます。
また、取戻しの対象は、譲受人(他人)が承諾しない限り、譲渡された相続分全部となります。
譲渡人の相続分の価格および費用を償還
取戻しには、相続分の価格と譲渡に要した費用を償還する必要があります。
相続分の価格については、相続財産の対象相続分の価格で、取戻権行使時における相続分の時価とする考えが通説です。
取戻権が行使されますと、譲受人は当然相続分を失います。
取戻権の行使期間は…
取戻権は1ヶ月以内に行使しなければなりません。
この起算点は、譲渡時説が通説で、1ヶ月の期間は除斥期間(=1ヶ月経過すると権利が消滅するという意味)と解されています。
まとめ・所感
譲渡された相続分は取り戻すことが可能です。
少し難しい話ですが、そもそも相続分譲渡が認められているのは、
相続分を譲渡したときに、他の相続人がその相続分を取戻しできるから、認められているのです。
ただ、旧来からの名士の方であったり、代襲で企業経営されておられるオーナーの家系の方にとっては、このようなケースは
非常に頭を悩まされることと思います。
制度はあれど、使われてしまうと他の相続人が困ることが多いと思いますので、専門家にご相談ください。