銀行の貸金庫に相続財産が!どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
ご相続が発生した場合、故人の財産を相続人間で分けますが、故人に貸金庫契約がある場合、
どのように手続きをすれば良いでしょうか?
この貸金庫の多くは銀行の貸金庫だと思いますが、預金等の相続手続きと少し性質が違います。
実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

父が亡くなりました。
父は銀行に貸金庫があるようです。貸金庫を開けるにはどうすれば良いでしょうか?

回答の流れ

  • 貸金庫契約とは?
  • 貸金庫がある銀行への通知
  • 貸金庫契約の解約

回答

STEP

貸金庫契約とは?

貸金庫契約とは、金融機関との間で、利用者が貸金庫という施設を利用し、その中に通帳や貴金属等を預け、
それに対して一定の使用料を支払う契約です。
不動産賃貸と似ていますよね。そうです。貸金庫契約の性質は、賃貸借契約です。
ですので、貸金庫契約は一身専属的なものではなく、財産上の権利として、利用者(父)が亡くなった場合には、
相続の対象となります。

一身専属権(いっしんせんぞくけん)とは…
その人個人にしか存在しない権利のことです。わかりやすい例としては、
運転免許や国家資格、親権者の地位等です。
これらの一身専属権は、相続財産には含まれず、相続人に引き継がれることはありません。

STEP

貸金庫がある銀行への通知

利用者(父)死亡の場合、貸金庫を開閉することはできません。
共同相続人も共同でなければ貸金庫の開閉はできません。これは貸金庫の支配権は準共有とされているためです。

準共有とは…
所有権以外の権利を複数人でもっている状態のことです。
この事例でいいますと、貸金庫を利用する権利を相続人みんなでもっていると理解してもらえれば、良いかと思います。

一方で、銀行へ通知をせず、貸金庫の鍵を持っていれば、実際上は開閉可能で、金融機関は貸金庫利用を拒絶できません。
逆に考えると、貸金庫の中身を勝手にだされてしまうこともありますので、利用者(父)死亡の時には、早急に金融機関に通知し、死亡の事実を知らせ、以後の利用をできないようにすることが必要です。

STEP

共同相続人全員による解約

STEP2に書きました通り、貸金庫契約の権利義務を承継した相続人全員で、貸金庫の解約書を銀行へ提出し解約します。

まとめ・所感

今回は貸金庫の解約をメインに書きましたが、貸金庫の借主の地位を、相続人に承継させることも可能です。
ただ、金融機関からすると、借主本人の利用を前提としていますので、相続人が継続して利用することは本来予定されていません。
相続人からしても継続して利用したいと思われる方は少ないかと思います。
また、遺言書を作成する場合は、遺言執行者の権限に貸金庫の開扉、解約及び内容物の取出しを付与されることをお勧めします。
遺言執行者は開扉請求権を有しないという裁判例があるため、金融機関によって、相続人全員の署名・捺印を求められるからです。
(権限が付与されていた場合は、遺言執行者のみの署名・捺印で良い)
その他、貸金庫に財産や遺言を格納していた場合、上記手続きではその発見がかなり後になってしまいます。
以下コラムにまとめましたので、ご覧ください。

受付時間
平日 9:00〜17:30

日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

受付時間
9:30〜17:00
(土日祝を除く)

日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

目次