相続人の中に未成年者がいる!どうやって手続きする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
ご相続が発生した場合、故人の財産を相続人全員で分けるため、遺産分割協議を行います。
ただ、相続人の中に未成年者がいる場合、その未成年者に遺産分割協議に参加してもらい、
遺産分割協議書に署名・捺印してもらうことは可能なのでしょうか?
先に結論ですが、それはできません。特別代理人を選任する必要があります。
実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

夫が亡くなりました。
相続人は私(妻)と13歳の長男の2人です。遺産は自宅(土地・建物)と銀行に預けている預金です。
遺産分割手続きはどのようにすればいいでしょうか?

動画解説

手続きの流れ

  • 特別代理人選任の申立て
  • 特別代理人との間で遺産分割協議をする

手続き方法

STEP

特別代理人選任の申立て

相続において、親権者(妻)とその子(13歳の長男)で利益相反となる場合は、親権者(妻)は、
その子(13歳の長男)のために、特別代理人の選任を家庭裁判所に求めなければなりません。

利益相反とは…
難しい言葉ですよね…
日常生活を考えていただければわかりやすいです。
例えば、未成年者が5,000万円の家を親の同意なく、購入する契約をしてきたとします。親はゾッとしますよね。
多くの親は、契約の相手方に申し出をしてこの契約をキャンセルします。
これは、法律で未成年者の法律行為は、原則親権者が取消しできると定められているから、できるわけです。
逆にいえば、未成年者は、親権者の同意がなければ法律行為ができません。

では、遺産分割協議はどうでしょうか?
夫の財産を、相続人全員でどうやって分けるか話し合いをするわけですが、子は法律行為ができないため、
親権者に決めてもらわなければなりません。
そうすると親権者は、自分自身と子がそれぞれいくら財産を相続するのか、一人で決めることができてしまうわけです。
もっといいますと、親権者に全財産を相続させることもできてしまうということです。
これが利益相反行為です。

STEP

特別代理人との間で遺産分割協議をする

特別代理人は、子を代理し、子の利益を考え、遺産分割協議をします。
遺産分割協議書には、特別代理人が、『相続人〇〇〇〇(子) 特別代理人〇〇〇〇』と署名し、
特別代理人の実印を押印します。
この遺産分割協議書に相続人を確定する戸籍等、協議した者(親権者と子)の印鑑登録証明書、
特別代理人の資格を証明する特別代理人選任審判書等を添付して遺産である不動産の名義変更、預貯金の払戻しを行います。

特別代理人は誰がなれる?
特別代理人には、特別な資格は要求されていません。
この事例では、子との間に利害関係がない方であれば誰でもなることができます。
そのため、遺産相続の場面では、法定相続人以外の親族や友人を特別代理人にするということが多いと思います。
親族や友人を特別代理人に選任する場合には、特別代理人の選任申立書の候補者欄に親族や友人を記載します。
ただ、候補者を記載したとしても、家庭裁判所の裁判官が当該候補者では適任ではないと判断した場合には、
裁判所が指定した弁護士等が特別代理人になることもありますので、ご注意ください。

まとめ・所感

前述で、『特別代理人は、子を代理し、子の利益を考え、遺産分割協議をします』と書きました。
子の利益を考えるということは、遺産分割協議では、最低でも法定相続割合の確保を他の相続人に求めるということになります。
この事例では、子は、夫の遺産の1/2以上を取得することが原則となります。
難しい手続きかと思いますので、ご不明な点等ありましたら、お問い合わせください。

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