銀行の貸金庫が開けられない!?どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
ご相続が発生した場合、故人の財産を相続人間で分けますが、故人に貸金庫契約がある場合、
多くのケースで遺産分割協議前に中身を確認しにいかなければなりません。
貸金庫の中に財産や遺言書がはいっている可能性があるためです。
しかし、この開扉請求や内容物の受け取りに関しては、法律的にも、銀行的にも解釈や対応がわかれるところがあり、
困ることがあります。
実例をもとに、以下簡単にまとめました。
貸金庫契約の性質については、以下にまとめておりますので、ご覧ください。

目次

ご相談事例

父が亡くなりました。
父は生前に貸金庫を契約していたようです。
他の相続人は遠地に住んでいることから、
私一人で貸金庫の中身を取り出そうとしたところ、銀行から拒否されてしまいました。
どうすればいいでしょうか?

動画解説

回答の流れ

  • 貸金庫の開扉はできるのか?
  • 貸金庫の内容物の持ち出しはできるのか?
  • 貸金庫に遺言書がはいっていた場合どうするのか?

回答

STEP

貸金庫の開扉はできるのか?

貸金庫契約の性質については、『銀行の貸金庫に相続財産があるとき_part1』をご確認ください。
貸金庫を開扉することは、貸金庫利用権の帰属や内容等について変更を加える行為ではないと考えられるため、
単なる保存行為と考えるのが自然です。
であるならば、各相続人は、他の相続人の同意なくして、貸金庫を開扉することができます。
また、相続人は相続財産について調査権を有していますから、貸金庫を開扉して中身を確認することは、
その調査の一環と考えられます。
よって、この観点からも、他の相続人の同意なくして、貸金庫の開扉ができるものと考えられます。

保存行為とは…
財産価値現状のまま維持する行為です。
不動産の修理や修繕をすることは、保存行為となります。共有者がいても単独で行うことができます。

上記主張をしても拒否する金融機関もあると聞きます。
その場合は、STEP2に記載の事実実験公正証書の提案をしてください。

STEP

貸金庫の内容物の持ち出しはできるのか?

結論できないと考えられます。
貸金庫の内容物を持ち出す行為は、上記STEP1で記載しました、保存行為や相続財産の調査の範囲を超えているためです。
また、銀行からすると、相続人の一人が内容物を持ち去ったとして、他の相続人からのクレームを言われるリスクがあります。
なので、上記2点から、銀行が相続人1人に対して、これを許容することは考えにくいです。
では、どうするのかですが、
公証人に対して開扉への立会いと内容物の確認を求め、その結果を事実実験公正証書に残すという方法を銀行に提案します。
この公正証書は、高度の証拠価値があり、銀行が考えているリスクの低減に繋がるため、
銀行が提案を受け入れる可能性が高いのではないかと思います。
ただ、費用がかかりますので、ご注意ください。

STEP

貸金庫に遺言書がはいっていた場合どうするのか?

貸金庫に入っていた遺言書が公正証書遺言であれば、公証役場にて戸籍謄本等で相続人であることを証明することで、
貸金庫を開扉しなくとも、公正証書遺言の正本・謄本を入手することができます。
また、自筆証書遺言であっても、遺言書保管所(法務局)に保管されていれば、相続人等は、遺言書保管ファイルに記録した事項を証明した書面である遺言書情報証明書の交付を受けることができます。

まとめ・所感

相続発生後、故人に貸金庫契約がある場合、相続人一人で開扉はできますが、内容物の受け取りは原則できません。
ただ、金融機関によっても、支店によっても対応が違うことがありますので、事前にお問い合わせすることをお勧めします。
また、ご生前に遺言書を作成される場合は、上記の通り、手続きがややこしいので、貸金庫に預けないほうがよろしいかと思います。
ご不明な点等ございましたら、お問い合わせください。

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日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

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