厚生年金の年金受給者が亡くなった…受給できる年金等について解説します!

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
お亡くなりになった方が、厚生年金の年金受給者であった場合、どのような手続きをすればいいでしょうか?
故人が厚生年金の被保険者であった場合の手続きについては、以下をご参照ください。

実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

60歳の定年後、年金を受けていた夫が68歳で病気になり、亡くなりました。
64歳になる私と2人暮らし(子供はいない)でした。遺族年金は受けられるでしょうか?
もし受けられるならどのような手続きをしたらよいのでしょうか?

ご回答のポイント

  • 妻の年収が850万円以下であれば遺族厚生年金は受けられます。
  • 年金の支給は2ヶ月に1回(偶数月)振り込まれるため、死亡した月によっては、未支給分を請求します。
  • 国民年金の遺族給付は、子のある配偶者または、子のみに支給されますので、今回の事例では遺族基礎年金は支給されません。代わりに中高齢寡婦加算が支給されます。

ご回答

STEP

遺族厚生年金

子のない妻が受けられる遺族厚生年金は以下の通りです。

①65歳未満で子のない妻が受けられる遺族厚生年金
 ・子のない30歳未満の妻の場合
  夫の死亡当時30歳未満の妻は5年間の有期年金になります。
 ・子のない30歳以上の妻の場合
  夫の死亡当時30歳以上の妻は65歳に達するまで受けられます。
 ・子のない40歳以上65歳未満の妻の場合
  夫の死亡当時40歳以上の妻は40歳から65歳までの間、遺族厚生年金の他に中高齢寡婦加算(遺族基礎年金の4分の3) 
  が加算されます。


②65歳以上で子のない妻が受けられる遺族厚生年金
 遺族厚生年金を受給する妻が、自身の老齢厚生年金の受給権を有する場合には次のいずれかで高い額が
 自動的に算出されます。
 ・自分の老齢厚生年金
 ・自分の老齢厚生年金の2分の1と遺族厚生年金の3分の2とを合算した額

③妻の収入要件
 受給権者の年収が850万円未満であることが必要です。
 ただし、おおむね5年以内に定年退職等で収入が850万円未満になることが明らかな場合は、
 会社の就業規則等で退職年齢を明らかにできる書類を添付することにより、遺族厚生年金を受給することもできます。
 
遺族厚生年金の詳細は以下コラムをご参照ください。

STEP

未支給年金の支給

年金の支給は2ヶ月に1回(偶数月)振り込まれるため、死亡した月によっては、未支給分を請求します。

受給順位

国民年金・厚生年金の受給順位は同じです。
死亡した受給権者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹または、これらの者以外の三親等内の親族の順となります。
国民年金の未支給分の請求については、以下コラムをご参照ください。

年金受給権者死亡届の提出

年金受給権者死亡届も同時に提出が必要です。
以下コラムをご参照ください。

提出時期

受給権者の年金の支払日の翌月の初日から5年以内

提出者

受給権者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹またはこれらの者以外の三親等内の親族

提出先

住所を管轄する年金事務所

受給額

年金受給者が死亡前に受け取ることができた老齢基礎年金の額

STEP

中高齢寡婦加算の手続き

遺族年金の裁定請求時に中高齢寡婦加算に該当すれば支給されますので、手続きは特段必要ありません。

中高齢寡婦加算(65歳前)

遺族厚生年金は、次のいずれかに該当する妻に40歳から65歳になるまでの間、年間596,300円(令和5年4月分から)が加算されます。
夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない妻
・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る)が、
 子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金が受給できなくなったとき

経過的寡婦加算(65歳後)

遺族厚生年金には、次のいずれかに該当する場合は、経過的寡婦加算が加算され、遺族年金の給付額を保証しています。
①昭和31年4月1日以前生まれの妻が、65歳以上で遺族厚生年金の受給権を取得したとき
(老齢厚生年金の受給資格を満たして死亡した夫の場合は、厚生年金の被保険者期間が20年以上(または40歳以降に15年以上)ある場合に限る)
②中高齢の加算がされていた遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき

経過的寡婦加算の額(令和5年度)

以下ご参考です。

生年月日
昭和21年4月2日~昭和22年4月1日 198,200円
昭和22年4月2日~昭和23年4月1日 178,385円
昭和23年4月2日~昭和24年4月1日 158,570円
昭和24年4月2日~昭和25年4月1日 138,755円
昭和25年4月2日~昭和26年4月1日 118,940円
昭和26年4月2日~昭和27年4月1日  99,125円
昭和27年4月2日~昭和28年4月1日  79,310円
昭和28年4月2日~昭和29年4月1日  59,495円
昭和29年4月2日~昭和30年4月1日  39,680円
昭和30年4月2日~昭和31年4月1日  19,865円
昭和31年4月2日~            0円

まとめ・所感

年金や健康保険関連の手続きは、人それぞれ加入歴等が違うため、事前に市区町村や年金事務所等へ問い合わせすることをお勧めします。
今回の事例では、遺族厚生年金、未支給年金(あれば)、中高齢寡婦加算が請求できます。
健康保険や年金は手続き自体はそれほど複雑ではないのですが、
加入歴、受給歴、年齢、婚姻期間等によって、申請内容が変わるため、すべてを把握するのはなかなか難しいのではないかと思います。
当事務所では、ご相続発生後の手続きに年金や健康保険関連の手続きが漏れていないのかも、確認させていただいております。
お悩みの方がおられましたら、お声掛けください。

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日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

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