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相続税の申告はどのような場合にしなければならないのか?
こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
相続税の申告は、しなくていい人 と しなければいけない人 がいます。
どのように判断するのでしょうか?
簡単にまとめました。
ご相談事例
父が亡くなりました。
相続税が心配です。どのような場合に申告する必要があるでしょうか?
ご回答のポイント
- 被相続人から、相続又は遺贈により財産を取得した者及び被相続人に係る相続時精算課税適用者の全員について、各々「課税価格」を計算し、その「課税価格」の合計額が基礎控除額を超える場合に、上記の者は相続税の申告義務を負います。
ご回答
相続税の申告義務を負うケース
相続税納付対象者は、原則として、相続又は遺贈(死因贈与を含む)により財産を取得した個人及び
生前贈与により相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した個人です。
なお、民法上は相続又は遺贈による財産の取得に当たらなくとも、相続税法3条により相続又は遺言による財産の取得とみなされる場合があります(例えば、被相続人が保険料を負担していた場合の死亡保険金の取得、死亡退職金の取得などです。)。
もっとも、相続が開始すると常に上記の者に相続税の申告義務・納付義務が生じるというわけではありません。
当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者の全員について、各々「課税価格」を計算し、
その合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えない場合には
相続税の申告も納税も必要ありません。
各人の「課税価格」の合計額が基礎控除額を超える場合にのみ、上記の者は相続税の申告義務を負います。
各人の「課税価格」の計算方法
前記のように、相続税の申告義務を負うか否かを判断するためには、まず、各人の「課税価格」を計算しなければなりません。
以下、その計算方法について説明します。
◆計算方法
被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者及び被相続人に係る相続時精算課税適用者の各々について、
次のように「課税価格」を計算します。
まず、
① その者が相続又は遺贈により取得した財産(これには、相続税法3条により相続又は遺贈により取得したとみなされる財産も含まれます。)、及び相続時精算課税の適用を受ける財産の合計額を計算します。
なお、一定の要件を充たした海外居住者等を除き、日本国外にある財産も相続税の課税対象となりますので、①に含めて計算します。
② 相続税法12条に掲げられている財産の価額は①において算入しません。
(例えば、墓地・祭具、死亡保険金や死亡退職金の一定金額までの部分など)
③ ①の金額から、③被相続人の債務及び被相続人に係る葬式費用のうち、その者の負担に属する部分の金額を控除します。
④その者が相続開始前7年以内(令和5年12月31日以前の贈与については、3年以内)に被相続人から贈与を受けたことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産については、
その価額の合計額から100万円を控除した残額)を加算します。
(ただし、贈与税の配偶者控除額、及び相続時精算課税の適用を受けた場合は除きます)
財産の評価方法について
課税価格計算の基礎となる財産の評価は相続開始時の時価によりますが、その算定方法の指針は、「財産評価基本通達」に定められています。
例えば、路線価が定められている地域の土地の評価方法は、「路線価×各種補正率×土地の面積」といった感じです。
基礎控除額の控除
各人の「課税価格」が計算できましたら、上記のように、その合計額が基礎控除額を超えない場合には、相続税は課されず、申告も必要ありません。
基礎控除額を超える場合に、申告が必要となり、その超える部分が相続税の課される遺産の総額(課税遺産総額)となります。
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
この法定相続人の数には、相続放棄をした者も算入されます。
配偶者の税額軽減等を受ける場合の注意
配偶者については、その者の「課税価格」が1億6,000万円以下または法定相続分までであれば、配偶者の税額軽減の適用を受けることにより、その納付すべき相続税額はゼロとなります。
また、相続開始直前において被相続人等の事業又は居住の用に供されていた宅地等については、相続人等が事業又は居住を継続する等、一定の要件のもと、当該宅地等の価額の20%又は50%のみを「課税価格」に算入する特例が認められており(小規模宅地についての相続税の課税価格の計算の特例。ただし上限面積があります。)、これにより、各人の「課税価格」の合計額が基礎控除額を下回り、相続税が課されないこととなる場合があります。
しかし、これらの適用を受けるためには、その適用を受ける旨記載した相続税の申告書を提出しなければなりません。
これらの場合、申告は不要と誤解しそうですが、申告して初めて相続税額がゼロになりますので、注意してください
まとめ・所感
相続税の申告が必要なのか不要なのかの判断は、実は早めにしなければいけません。
なぜなら、相続税申告・納付には期限があり、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内となっているからです。
また相続税の納付は原則現金納付です。
つまり、10ヶ月以内に遺産分割協議まで完了し、相続税を遺産から支払うのであれば、故人名義の金融資産を名義変更または解約までしておかなければならないということです。
この10ヶ月という期間ですが、短いようで結構タイトです。
葬祭関連から、その他細かい手続きや届出がたくさんあり、そんな中、相続手続きまでしなければなりません。
相続手続についてご経験があったり、お詳しい方が相続人等にいらっしゃればよいのですが、そうでない場合は、
やはりご心労が重なることもあろうかと思います。
当事務所では、相続税申告も提携税理士が行うため、ワンストップサービスで対応が可能です。
相続税がかかるかもしれないとお考えでしたら、早めにご相談いただければと思います。