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相続で不動産を取得しようと思ったら、買戻特約がついていた!どうする?
こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
不動産の登記で、買戻特約というのがあるのはご存知でしょうか?
相続した不動産にこの特約がついていた場合、どのようにすれば良いか、ご相談の実例をもとに、以下簡単にまとめました。
ご相談事例
父が亡くなりました。
父の所有していた不動産を相続することとなりましたが、相続登記を行おうとしたところ、
買戻しの特約に関する登記がされている不動産でした。かなり前の買戻し特約のようです。
抹消登記をしたいと考えていますが、どうすれば良いでしょうか?
ご回答のポイント
- 売買契約日から10年を経過した買戻特約登記は、登記権利者単独で抹消申請ができることとなりました。
ご回答
買戻特約登記の単独抹消
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者および登記義務者が共同してしなければなりませが、令和5年4月1日以後にされる登記申請では、売買契約日から10年を経過した買戻しの特約登記にあっては、
登記権利者(売買契約における買主)が単独で登記の抹消申請をすることができることとなりました。
また、この場合には、登記原因証明情報の提供を要しません。
制度の趣旨
買戻し特約登記の単独抹消申請の制度は、
買戻しの期間は10年を超えることができず10年を超える期間を定める特約をしても10年に短縮され、かつ、買戻しの期間を定めたときはその後これを伸長することができないことから、
売買契約日から10年を経過した買戻しの特約については、実体法上その期間を延長する余地がないことを踏まえて、
形骸化した登記の抹消手続の円滑化を図り、土地の適正な利用および相続による権利の承継の円滑化等に資することを目的とするものです。
登記の目的ならびに登記原因およびその日付
買戻し特約登記の単独抹消申請の登記の目的は「何番付記1号買戻権抹消」、
登記原因は「不動産登記法第69条の2の規定による抹消」とし、登記原因の「日付」は要しません。
申請人
申請人は登記権利者(売買契約における買主)のみです。
ただし、買戻特約登記の抹消は本来登記義務者との共同申請にるべきものであるため、
登記申請書には、登記権利者のみでなく登記義務者の記載を要します。
なお、登記義務者の住所は登記記録上の住所を記載すれば足り住所の追跡調査までは要しません。
登記官による通知
登記官は、買戻し特約登記の単独抹消申請による登記の抹消を完了した場合には、
当該登記(買戻し特約登記)の登記名義人(買戻権者=売買契約の売主)であった者に対し、
その者の登記記録上の住所にあてて通知書を発送する方法により登記が完了した旨を通知しなければならないものとされています。
添付情報
買戻し特約登記の単独抹消申請にあっては、代理人により申請する場合の委任状を除き、添付情報は要しません。
まとめ・所感
不動産の売買契約において、売主が一定期間後に不動産を買い戻すことを前提に、契約に特約を付けることがあり、これが買戻特約です。
一般的にはあまりないと思うのですが、私の経験上でいいますと、神戸市の西神ニュータウンにて、当時神戸市が分譲していた土地には、
この買戻特約がついていました。
たしかローンの承認がおりなかったときのために、ついていたのではないかと記憶しています。
当然ローンの承認がおりたら、その買戻特約は抹消登記されるわけですが、
仮にこの手続きが漏れていて、抹消登記がされず、長年経過していても、上記のように単独で抹消登記ができますので、ご安心ください。