不動産をすべて相続したいが、他に分ける遺産がない!どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
故人の遺産が不動産のみで、相続人が複数人いる場合、その不動産をどう分けるか遺産分割協議をします。
しかし、不動産は切って割ることは難しいため、共有(1/2ずつ相続する等)で取得するということになるでしょう。
ただ、共有で取得することはあまり良くないですし、今後のその土地の有効活用等も考えて、1人の相続人が単独で相続したい!
という主張もあると思います。
その場合、どのように遺産分割協議をすれば良いでしょうか?
ご相談の実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

父が死亡し、相続人は私と弟の2人です。
相続財産は土地のみですが、私は土地の全部を取得したいと思っており、
弟は土地価格のうち法定相続分2分の1に見合うお金をもらえればよいと言っています。
遺産分割の手続はどのようにしたらよいのでしょうか?

ご回答のポイント

  • 土地を単独に取得する相続人が、土地を取得しない相続人に対し債務の負担をする旨の遺産分割協議書を作成します
  • 相談者(私)が、土地をすべて相続する代わりに、弟にその代償金(法定相続分1/2)を支払う遺産分割協議をする、ということです。

ご回答

STEP

代償金に関する遺産分割協議書の作成

家事事件手続法195条は、家庭裁判所は財産の現物分割が困難等特別な事由があると認めるときは、遺産分割の方法として、
共同相続人の1人または数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、
現物をもってする分割に代えることができる、と定めています。
このように、財産を単独で(または法定相続分以上に)取得する相続人が財産を取得しない(または法定相続分以下しか取得しない)相続人に対し、
後者の相続分に相応するような金銭債務の負担をする旨の遺産分割をすることが認められています。
代償金の額は財産の法定相続分の時価を基準に決められることが多いと思われます。
書式にある事例において、兄が弟に負担する代償金は土地の時価の2分の1相当の金額となりますが、
代償金額を取り決めるに当たり、実際には売却をしないため、財産の評価を巡って対立を生じることがありますので
注意が必要です。

STEP

相続税

被相続人の遺産に相続税が課せられる場合では、
土地を取得し代償金債務を負担した者は、土地の価格より債務を差し引いた金額に対応した相続税額を負担することになり、
代償金を取得した者は代償金に対応した相続税額を負担します
ただし、土地の路線価格が実勢価格に比例していない場合は代償金につき圧縮計算をすることができます。

まとめ・所感

上記のような分割方法を、代償分割といいます。
遺産分割協議書の書き方としては、
『相続人〇〇〇〇は、遺産取得の代償として、相続人〇〇〇〇に対し、金〇〇〇万円を、平成〇年〇月〇日までに、〇〇〇〇の指定する銀行口座に送金して支払う。送金手数料は、〇〇〇〇の負担とする』といった具合でしょう。
一見平等で、とてもいい分割方法に思えるのですが、難しいのは、土地の時価がいくらなのかということです(この事例の場合)。
ここが決まらならければ、当然代償金の金額は決まりませんし、高くなりすぎたり、安くなりすぎたりすると、
係争となってしまう可能性があります。
価格の決定については、やはり第三者機関(鑑定や不動産業者への査定)を通じて、適正価格をだし、相続人全員が納得する金額を定めてください。
お困りの場合は、当事務所にご相談ください。

↓参考コラムです。 ご参照ください。

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