相続人の廃除とは?要件と効果をご説明します!

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
相続人の廃除が確定すると、その相続人は直ちに相続権を失います。
要件と効果をご説明します。

目次

相続人の廃除とは?

推定相続人が被相続人を虐待したり、これに重大な侮辱を加えたとき、または相続人にその他著しい非行があったとき、
被相続人は、家庭裁判所に推定相続人廃除の申立てをし、審判によって、相続人の相続権を剥奪することができます。

推定相続人の廃除事由は?

被相続人に対して虐待をしたとき、もしくは重大な侮辱を加えたとき
 虐待とは、被相続人の身体または精神に不当な苦痛を与えること、
 重大な侮辱とは、被相続人の人格的価値ないし名誉感情を著しく害することであり、
 その結果、被相続人がその者との間に、相続的協同関係を継続することが一般に期待できないと認められる場合をいいます。

推定相続人にその他の著しい非行があったとき
 その他の著しい非行とは、相続的協同関係を破壊するような重大な非行をいいます。

推定相続人廃除の審判申立て

推定相続人を廃除するためには家庭裁判所へ審判の申立てをします。
被相続人が成年被後見人となるべき者および成年被後見人である場合も、法定代理人によらずに、自ら申立てをすることができます。
被相続人が被保佐人、被補助人である場合も同様です。

STEP

審判手続き

申立てが不適法であるとき、または申立てに理由がないことが明らかなときを除き、
申立書の写しを廃除を求められた推定相続人に送付しなければならないとされています。
ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知するだけで足りるとされています。
申立てが不適法であるとき、または申立てに理由がないことが明らかなときを除き、
審問の期日において廃除を求められた推定相続人の陳述を聞かなければならないとされ、
審問期日に当事者の陳述を聞くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、その期日に立ち会うことができるとされています。
ただし、他の当事者が立ち会うことに事実の調査に支障を生じるおそれがあると認められるときは、この限りではないとされています。
推定相続人は、推定相続人廃除の審判に対し即時抗告をすることができ、被相続人は廃除の申立を却下する審判に対し即時抗告をすることができます。

STEP

審判確定の効力

審判が確定すると、被廃除者である相続人は、直ちに相続権を失います。
廃除の届出によって審判の確定の効力を生じるものではありません。
廃除の効力は当該相続人の相続についてのみ及びますので、その者の子は被廃除者を代襲して相続人となることができます。一方、相続欠格事由がある者は受遺者となることができませんが、廃除者には同条の準用がないことから受遺者となることができます。
相続権を剥奪されるだけで、扶養、その他の身分的法律関係には影響ありません。

推定相続人廃除の届出

推定相続人廃除の審判が確定したときは、裁判所書記官は、遅滞なく廃除された者の本籍地の戸籍事務管掌者に通知をしなければなりません。
申立人は、推定相続人廃除の審判確定の日から10日以内に、確定証明書付の審判書謄本を添付して、
被廃除者の本籍地または届出人の所在地(住所、居所など)に、推定相続人廃除の届出をしなければなりません。
相続人の廃除をされた者の戸籍にはその旨の記載がされます。

まとめ・所感

廃除事由は上記通りですが、人それぞれ事情が異なりますので、過去様々な理由によって廃除が認められております。
実際の事例を3つ書いておきますので、ご参考にしてください。

父の金員を無断で費消したり、多額の物品購入代金の支払いを父に負担させ、これを注意した父に暴力を振るい、その後家出して行方不明になっている長男について、親子間の家族的、相続的協同関係の破壊があるとして推定相続人廃除の申立てを認容した。

娘が暴力団員と婚姻し、父母が婚姻に反対なのに父の名で披露宴の招待状を出すなどした行為について、民法892条にいう虐待または重大な侮辱は、被相続人に対して精神的苦痛を与えまたはその名誉を毀損する行為であって、それにより被相続人と当該相続人との家庭的協同生活が破壊され、その修復を著しく困難ならしめるものも含むとし、廃除の申立てを認めた。

相手方(長男)は、過去に申立人(母)に対し継続的に暴力を加え、現在に至るまで申立人に精神障害ないしは人格障害があるとの主張や行動を繰り返すほか、申立人に無断で同人の3,500万円を超える多額の貯金を払い戻し、これを取得しているにもかかわらず返済する意思もないことなどからすると、これらの行為により相続的協同関係は破壊されるに至ったことは明らかであり、上記行為は、申立人に対する虐待、重大な侮辱および著しい非行に該当するとして申立てを認容した。

相続人の欠格事由については、以下コラムをご参照ください。

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