遺言執行者とは?権限と義務についてご説明します!

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
遺言執行者とは、遺言者(被相続人)が遺言の中で指定し、相続発生後にその遺言の内容を実現する人のことをいいます。
(遺言書の中に遺言執行者が書かれていなくても、相続発生後に家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てをすることが可能です)
遺言執行者の権限と義務について、ご説明します。

目次

遺言執行者の権限とその内容

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遺言執行者の権利義務とは?

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、
相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされています。

「必要な一切の行為」とは、「相続財産の管理その他遺言の執行のために相当かつ適切と認める行為」を意味します。
遺言とは、相続財産等についての遺言者(被相続人)の意思を表すものですから、
いかなる行為が「相当かつ適切と認める行為」であるかは、
遺言者(被相続人)の真意に沿った行為であるか否かで判断することになります。
具体的にどのような行為が「相当かつ適切と認める行為」かは、遺言内容から遺言執行者の責任で判断することになります。

また、遺言執行者は遺言執行の対象となる相続財産に対して排他的に管理処分権を有することから、
遺言執行者がいるときには、
相続人は、
相続財産の管理処分権限を失い、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができません。
これに違反してなされた相続人の処分行為は、原則として無効であるとされています。

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遺言執行者の具体的な権利義務(上記以外)

遺言執行者は相続財産の存否を調査し、必要に応じて、相続財産の管理者から引渡しを受け、
自らの管理下に置くなどの措置をとることになります。
また、遺言執行に必要な物件を占有する第三者に対しては、その引渡しを求めることもでき、遺言執行を妨害する者に対しては、
訴訟提起をすることも含めて、その妨害を排除する行為をすることができます。
そのほか、遺言執行者の権限として、遺贈義務の履行、特定財産承継遺言がされた場合の対抗要件の具備に必要な行為の権限、
遺言認知の届出などがあります。

平成30年の民法改正により、従来、規定上明確ではないと指摘されていた遺贈義務者と遺言執行者の権限との関係等について、
遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができるとして、
遺言執行者がいる場合には、遺言執行者のみが遺贈の履行を行うことができ、各共同相続人は遺贈の履行義務を負わないものとされました。

また、取引の安全等を図る観点から、特定財産承継遺言がされた場合も遺贈や遺産分割と同様に対抗要件主義が導入され、
法定相続分を超える権利の承継について対抗要件の具備なくして第三者に権利の取得を対抗することができなくなったことから、
遺言執行者は、受益相続人のために対抗要件を具備する権限が付与されました。

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その他の権利義務

⑴ 善良な管理者としての注意義務
⑵ 報告義務
⑶ 受取物等の引渡義務
⑷ 補償義務
⑸ 費用償還請求権等
⑹ 緊急処分義務
⑺ 委任事務終了事由を通知するまでの執行事務の継続

まとめ・所感

遺言執行者には権限が与えられているものの、遺言執行を速やかに行うためには、まず、相続人等に対して、
遺言執行者に就職し任務を開始したことを通知していただく必要があります。
また、相続人に対しては遺言の内容を通知して、管理すべき相続財産を確保し、財産目録を作成してください。
相続財産についての遺言執行者の権限は強力ですので、その権限の範囲を決する遺言の内容を速やかに確定することが大事だからです。

よくあるパターンとして、相続人が遺言執行者に指定されている場合ですが、
この場合、遺言執行者としての地位を有すると同時に、相続人として被相続人の権利義務を承継する地位を有することになります。
遺言執行者はその職務遂行に影響を及ぼすことのないよう個人の立場や利害を離れて職責を行使しなければならないことお忘れなく、
粛々と手続きを進めていただければと思います。

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