認知症の方が遺言を書くと、その遺言は有効なのか?解説します!

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
遺言は遺言者(遺言を書く人)の意思で、遺産の分け方について意向を書きます。
では、その遺言者が認知症だった場合、その遺言はどうなるのでしょうか?
簡単に書いてみます。

目次

結論

遺言者が認知症であるからといって必ずしも遺言が無効となるものではありません。

ですが、遺言作成時における遺言者の認知症が相当程度重症である(判断能力が相当程度低下している)にもかかわらず、
複雑な内容の遺言書を作成するのは、なるべく避けた方がよいでしょう。

認知症の遺言者であっても、通常の手続によって有効な遺言をし、遺言書を作成することができます。

遺言者が成年被後見人である場合、
・遺言者が遺言書作成時に事理を弁識する能力を一時回復していること
・医師2名以上の立会い
要求されています。

近時、成年被後見人である遺言者による遺言につき、「事理を弁識する能力を一時回復した時」の要件を厳格に解し、遺言能力を否定した裁判例もありますので、、成年被後見人による遺言には高度なリスクが伴うことには注意が必要です。

遺言能力

民法は、遺言者が満15歳以上で、遺言をする時において能力を有していれば遺言をすることができるとしています。
遺言をする能力を遺言能力といい、民法963条の「能力」とは一般に意思能力を指すものと考えられます。

泥酔者などには意思能力がなく、認知症の者も、症状の程度が進行しており
事理を弁識する能力を欠く状態になっているような場合には意思能力なしとして遺言は無効になります。

民法は、一般の法律行為については、判断能力を有しない者を保護する見地から、
未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の規定を設け、それぞれ行為に制限を受ける旨の規定を定めています。
しかし、遺言に関しては、15歳以上であれば遺言能力を有するとし、制限行為能力者についてその規定を適用しないとしています。
つまり、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人も遺言能力を有するとしています。

まとめ・所感

遺言は認知症であっても、必ずしも無効となるものではありません。
ですが、相続発生後に相続人間で、遺言の効力について争いが起こる可能性は高まります。
よって、意思能力がしっかりあるときに遺言を書いていたほうがいいのは間違いなく、『相続対策はお元気なうちに』されることにこしたことはありません。
遺言はその時点の財産や状況で意向を書くわけですが、将来的に財産に変動が起こることもよくあります。
例えば、家(自宅)を売却して、老人ホームに入居する等です。
当事務所では、このような場合にも『遺言を書き換えしなくいい文案』をご提案しています。
理由は、この記事のように、後になって遺言を書き換えようと思っていても、そのときには意思能力がなくなっている可能性があるからです。
対策は1回で終えたい、何回も遺言を書きたくない、そのように思われている方は、お気軽に当事務所にお問い合わせください

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