相続手続中に相続人が亡くなってしまった…どうする?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
ご相続が発生し、相続人全員で遺産分割協議をしようと準備していた矢先、その相続人の1人が亡くなってしまった
というケースがあります。
ご親族様にとって、とても悲しくお辛く、ご負担が大きいケースです。
考えたくはないのですが、相続人が故人と同世代である場合には、やはりこういったことは、あり得てしまいます。
どのように手続きをすれば良いでしょうか?
実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

父が亡くなり、相続人で遺産分割協議をしようとしていた矢先、母も亡くなってしまいました。
相続人は私と弟の2人で、遺産は自宅(土地建物)と預金です。
遺産分割手続きはどのようにすれば良いでしょうか?

ご回答のポイント

  • まず、父の遺産につき、母の相続分をどうするのか含めて遺産分割協議をして、母の取得財産を確定し、
    次に母の取得財産と固有財産につき、遺産分割協議をします。

ご回答

STEP

遺産分割協議書の作成

一次相続である父の遺産分割をまず行い、母の相続する遺産を確定し、
その次に二次相続である母の遺産分割を行って、別々の遺産分割協議書を作成します。
一次相続と二次相続の遺産分割協議を1つの遺産分割協議書にまとめることも可能です。
(ケースによりますが、兄弟相続の場合、相続人の人数が多いことがありますので、遺産分割協議書は1つに纏めたほうが、
ご負担が少なく、良いと思います。)
ただし、相続税の申告は一次と二次を別々にしますので、ご注意ください。

STEP

相続税の申告について

今回のようなケースは、数次相続・相次相続・再転相続と呼ばれたりします。
ケースはほぼ一緒、手続きも似ているのですが、二次相続が発生した時期等で言い方が違うといった感じです。
以下、簡単に書きましたので、ご参照ください。

数次相続…相続が発生した後に、相続を承認したものの、遺産分割が未了の間に相続人にさらに相続が発生した場合のことを
      言います。今回の事例はこれになります。

相次相続…一次相続の発生後、10年以内に二次相続が発生した場合で、相次相続控除の適用を受けられる相続のことをいいます。
      今回の事例でも、相次相続控除の適用がある可能性があります。

再転相続…相続が発生した後に、相続の承認または放棄をしていない相続放棄の熟慮期間中に、
      相続人にさらに相続が開始した場合のことを言います。

相続税の配偶者控除

配偶者の相続税軽減を受けるためには、分割済みであることが必要ですが、事例のように分割前に配偶者が死亡した場合は、
一次相続の配偶者以外の共同相続人等と二次相続の共同相続人等によって一次相続の遺産分割をし、配偶者の取得財産が確定したときは、一次相続においても配偶者の相続税の軽減が適用されます。

相次相続控除

一次相続と二次相続との間が10年以内の場合には、二次相続についての相続税に関し、相次相続控除制度が適用になります。
短期間に相続が重なった場合には、長期間相続がなかった場合より相続税の負担が重くなってしまうことから、
これを調整するためにあります。
これにより、一次相続で課せられた税額の一定割合相当額が、二次相続の際に課せられる相続税額から控除されることになります。

登録免許税の免税措置

個人が相続や遺贈により土地所有権を取得した場合において、その個人が当該土地の所有権移転登記手続前に死亡したときは、
平成30年4月1日~令和7年3月31日までの間、当該土地の所有権の登記名義人とするための登記については、登録免許税は課さないこととされました。
つまり、登記名義人となっている被相続人(父)から、相続人(母)が土地所有権を相続した場合において、
その相続登記手続前に相続人(母)が死亡したときは、相続人(母)を当該土地の登記名義人とするための相続登記は、
相続人(私と弟)が手続きすることになりますが、その場合、登録免許税が免税となります。
なお、必ずしも相続人(私と弟)がその土地を相続している必要はなく、例えば相続人(母)が生前に当該土地を第三者に売却していたとしても、一次相続についての相続登記の登録免許税は免税となります。
この結果、土地の価格に対して0.4%の税率による登録免許税が、平成30年4月1日~令和7年3月31日までの間はかからないことになります。

まとめ・所感

お一人がお亡くなりになると、その相続人の方がやらなければならないことは多岐にわたり、煩雑で、ご負担が大きいものとなります。
今回のように、相次いでご相続は発生してしまった場合は、さらにご負担が大きくなるわけですので、ご相続人様で抱え込むことはとても大変になると思います。
ご相続手続きで一番大事なことは、仲の良いご相続人様同士のご関係が崩れず、揉めずに終えることだと思っています。
費用はかかりますが、そのために専門家がいるわけですので、是非ご相談いただければと思います。

受付時間
平日 9:00〜17:30

日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

受付時間
9:30〜17:00
(土日祝を除く)

日程を調整いたしますので、事務所にご来所の際も事前にご連絡をお願いいたします。

目次