遺留分って何!?権利者と算定割合について解説します!

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
一定の相続人には、遺留分という権利があります。この権利は、遺言で財産をもらえなかった人でも、
財産をもらった人に請求することで、遺留分の財産を取得することができます。
ご相談の実例をもとに、以下簡単にまとめました。

目次

ご相談事例

私には妻と息子2人がいますが、長男にすべての財産を取得させる内容の遺言書を作成する予定です。
何か問題となることはありますか?

動画解説

ご回答のポイント

あなたのは4分の1、次男は8分の1の遺留分があります。
なので、あなたが予定している遺言は、遺留分を侵害する内容となります。
遺留分を侵害しない遺言書を作成することをお勧めします。

ご回答

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遺留分制度とは!?

本来、財産は自由に処分できるはずであり、
生前に贈与を行うことや遺言書により死後の財産処分を行うことなども自由にできるはずです。
しかしながら、この原則を無制限に貫くと、相続人が被相続人の財産を全く享受できない場合も生じるなどの不都合が生じます。
相続人の中には、被相続人とともに生活して、被相続人の財産形成に潜在的に貢献してきた人もいるでしょうし、
被相続人に扶養されてきたといった人もいるでしょう。
これらの相続人が被相続人の財産を全く享受できないとすると、それらの者の利益が侵害されることになります。

そこで、民法は、被相続人の財産処分の自由と一定の相続人の利益との調和を図る観点から、一定の相続人(遺留分権利者)に、
法律上、被相続人の財産の一部を留保することを保障する制度として遺留分制度を設けています。

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遺留分権利者とは!?

遺留分を有する者を遺留分権利者といいます。
民法では、遺留分権利者を「兄弟姉妹以外の相続人」と規定しています。
「兄弟姉妹以外の相続人」とは、
具体的には、子又はその代襲相続人、子らが相続人とならない場合には直系尊属及び配偶者をいいます。

また、相続欠格者、相続人の廃除の手続を受けた者、相続放棄をした者は、
「相続人」ではないので、遺留分権利者ではありません。
ただし、相続欠格及び相続人の廃除がなされた場合には、代襲相続が生じますので、
これらの場合の代襲相続人は遺留分権利者となります。

なお、胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされます。
胎児の出生を条件として権利能力の取得を相続開始の時まで遡らせる見解に立つと、条件付きではありますが、
胎児もまた遺留分権利者であるということができます。

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遺留分の割合は?

遺留分権利者が有する遺留分については、「割合」で決められています。
その具体的な割合については、遺留分を算定するための財産の価額に
直系尊属のみが相続人である場合には、「3分の1」
それ以外の場合には、「2分の1」
となります。
相続人が複数いる場合には、当該相続人の法定相続分に上記①②に記載した遺留分の割合を乗じて
当該相続人の遺留分の割合を算出することになります。

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具体的に遺留分の計算をしてみましょう!(ケース別)

①相続人が子のみの場合
子が1人の場合は、2分の1(民1042①二)
子が2人の場合は、1/2(法定相続分(民900四))×1/2=1/4
が遺留分となります。
なお、平成25年改正前民法では「嫡出でない子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする」旨の規定があり、遺留分の割合にも影響がありましたが、平成25年改正後民法により、当該部分が削除され、両者の相続分は同等となりました。

②相続人が直系尊属のみの場合
直系尊属が1人の場合は、3分の1
直系尊属が2人の場合は、1/2(法定相続分(民900四))×1/3=1/6
が遺留分となります。

③相続人が配偶者のみの場合
配偶者の遺留分は、2分の1となります。

④相続人が子と配偶者の場合
子が1人の場合、
子は、1/2(法定相続分(民900一))×1/2=1/4
配偶者は、1/2(法定相続分(民900一))×1/2=1/4
が遺留分となります。

子が2人の場合、
子は1/2(民900一)×1/2(民900四)×1/2=1/8
配偶者は、1/2(民900一)×1/2=1/4
が遺留分となります。

⑤相続人が直系尊属と配偶者の場合
直系尊属が1人の場合、
直系尊属は1/3(民900二)×1/2=1/6
配偶者は、2/3(民900二)×1/2=1/3
が遺留分となります。


⑥相続人が兄弟姉妹と配偶者の場合
兄弟姉妹には、遺留分はありません。
配偶者は、1/2(民900三)が遺留分となります。

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遺留分侵害額請求権とは!?

遺留分を侵害された遺留分権利者は、受贈者等に対して遺留分侵害額請求権を行使することができます。
遺留分侵害額請求権の行使により遺留分権利者の受贈者等に対する金銭支払請求権が発生することになります。
そして、遺留分権利者は、この金銭支払請求権を行使し、遺留分侵害額を回復することができます。

まとめ・所感

遺留分割合の計算自体はさほど難しくないのではないかと思います。
難しいのは、遺言を書くときです。
特定の相続人等に大きく財産を残したい場合には、他の相続人の遺留分を侵害していないか把握する必要があり、
できれば、遺留分を侵害しないように遺言を書くことがベストです。
また、遺留分を侵害した遺言とするなら、付言事項等にその理由を書くべきでしょう。
理由としては、相続後に遺留分侵害額請求が発生すると、揉めるからです。
法律にある権利とはいえ、財産を多くもらった人に対して、配達記録付きの内容証明郵便で行使するわけですから、
法律に詳しくない相続人にとっては、精神的負担は大きく、”争続”の火種になります。
個別事情によって対応が様々ですので、お悩みの場合は、当事務所にご相談ください。

以下遺留分についての別コラムです。ご参照ください。

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