相続欠格とは?要件と効果をご説明します!

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
相続『欠格』とは、相続人の資格を失うことをいいます。
どのような場合に該当するのか等、ご説明します。

目次

相続欠格事由は?

相続欠格事由の該当者は当然に相続人となる資格を失い、そのための手続を必要としません。

相続欠格事由は以下の通りです。
故意に被相続人または先順位もしくは同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者。
 
被相続人が殺害されたことを知っていながら告訴、告発をしなかった者
 ただし、その者に是非の弁別がないとき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときは告訴・告発をしなかったとしても
 やむを得ないので相続欠格とはなりません。

詐欺または強迫によって被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、変更することを妨げた者

詐欺または強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者

相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、隠匿した者

相続欠格の効果とは?

上記にも書きましたが、相続欠格事由に該当した場合は、当然に相続資格を喪失します。
相続欠格事由が相続開始前に発生したときは、その事由が発生したときから、
相続開始後に欠格事由が発生した場合は、相続欠格の効力は相続開始のときにさかのぼって発生します。
なお、欠格者となっても戸籍には記載されません。
相続欠格者は当該被相続人の相続についてだけ相続資格を失います。
この場合、相続欠格者を被代襲者としてその直系卑属が代襲相続人になります

相続欠格の裁判例(相続欠格とならなかったケース)

欠格者に関する裁判例はいくつもあり、見解が分かれるため、有名なものを一つ紹介します。
少し難しいのですが…
欠格者となるためには、各欠格事由に該当する行為を行うことについての故意のみならず、さらにその行為によって相続法上有利になろうとする意思ないしは故意を必要とするのかどうかについては、争いがあります。

最高裁平9・1・28判決です。
相続人が相続に関する遺言書を破棄または隠匿した場合において、
相続人の行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、
これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、このような行為をした者に相続人となる資格を失わせるという
厳しい制裁を課することは、民法891条5号の趣旨に沿わないと判示し、最高裁として、初めて二重の故意を必要とすることを明確にしました。

まとめますと、
遺言書の破棄または隠匿した場合でも、不当な利益を目的とするものでなかった場合は、相続欠格にならないという判決です。

まとめ・所感

相続欠格に該当した場合は、当然に相続人となる資格を失い、そのための手続を必要としないのですが、
一方で相続欠格事由に争いがある場合には、民事訴訟となり、判決の確定により、欠格事由が確定されます。
難しい問題であることはいうまでもありません。
なるべく早く専門家にご相談されることをおすすめいたします。
相続人の廃除事由については、以下コラムをご参照ください。

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