<遺言の書き方④>夫婦で遺言を書き、お互いにすべての財産を相続させる書き方とは!?

こんにちは。こうづ行政書士FP事務所 行政書士の髙津です。
夫婦で遺言を書く場合、二人でお築きになった財産ですので、「一次相続では互いにすべての財産を相続させたい」という
希望をもたれている方が多いように思います。
お子様がおられる場合は、遺留分の問題がありますので、その書き方について解説したいと思います。

目次

夫婦お互いにすべての財産を相続させる書き方

                    遺言書
1.遺言者〇〇〇〇は、下記の財産その他遺言者が所有する一切の財産を、妻(夫)の〇〇〇〇に相続させる。(※1,2)
                      記
⑴ 土地
所 在 ○○県○○市○○町○丁目
地 番 ○○番
地 目 ○○
地 積 ○○.○○平方メートル
のうち、持ち分2分の1

⑵ 建物
所 在 ○○県○○市○○町
家屋番号 ○○番
種 類 ○○
構 造 ○○
床 面 積 ○○.○○平方メートル
のうち、持ち分2分の1

⑶ 預金
① ○○銀行○○支店普通預金口座
口座番号○○
口座名義 甲野太郎② ○○銀行○○支店普通預金口座
口座番号○○
口座名義 甲野太郎

⑷ 遺言者が死亡時に所有する現金

2.長男△△△△は、就職して収入が安定しているし、また、長女□□□□は、定職に就いている夫と結婚して、子を有し、幸せな家庭を築いている。他方で、妻(夫)の〇〇〇〇は高齢であり、万が一に備えて財産を有しておく必要がある。
したがって、遺言者の財産のすべてを〇〇〇〇に相続させることとした。
△△△△と□□□□は、遺留分侵害額請求を行使しないで、家族仲良く暮らして欲しい。(※3)

令和○○年○○月○○日
遺言者 〇〇〇〇 ㊞

ポイント

(※1) 遺言は、夫と妻はそれぞれ別々に遺言書を作成する必要があります。この規定に違反した遺言は、全部無効になります

(※2)相続財産は、可能な限り特定してください。
ただし、それ以外の財産が発見されたときにトラブルになる可能性がありますので、
遺言書の第1項のように、「その他一切の財産」と書き加えた方がよいです。
また、相続財産に不動産がある場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)の通りに記載してください。

(※3)付言事項といいます。この遺言の内容にした理由や想いを書くことができます。
法的拘束力はありませんが、相続人にとっては、心情面で効果があります。
また、相続人のうち一定の者には、その生活保障等の観点から遺留分が認められています。
遺言の内容が遺留分を侵害する場合でも、遺言が無効になることはありませんが、遺留分権利者から遺留分侵害額請求権を行使された場合はこれに応じなければなりません。
本事例のように相続人が妻と子2人の場合の遺留分は、妻が4分の1、子がそれぞれ8分の1となります。
本事例の遺言書は、遺留分を有する子2名に相続させない内容となっているので、子2人の遺留分を侵害しています。
したがって、子らが遺留分侵害額請求をしないように、
子らが納得できる理由を掲げた上で、遺留分侵害額請求をしないよう求める旨を記載しておいた方が、
死亡後のトラブル防止につながることも考えられます。
また、トラブルが予想される場合は、遺留分に相当する財産だけは相続させる内容としてもよいと思います。

まとめ・所感

夫婦遺言については、どちらが先にお亡くなりになるかわからないので、上記のような書き方に加えて、予備的遺言を書いておくと良いです。このケースでいうと、『夫(妻)が先に亡くなっていたときは、〇〇〇〇に相続させる』というものです。
これを書いておけば、夫婦どちらかが亡くなった後に、遺言書を書き換える必要がなく、より確かな遺言書をのこすことができます。
予備的遺言については、以下コラムをご参照ください。

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